2011年9月アーカイブ

スプリンガーの病気(2) てんかん

 

激怒症候群と並んでEpilepsy=てんかん」も脳の病気である。スプリンガーに多いとされる病気の一つで、脳内に突然異常な電気的興奮が起こり、脳の神経細胞が正常に働かなくなる為にけいれん発作などを引き起こしてしまう病気である。

 

てんかんの症状であるてんかん発作は体全体が激しくけいれんする場合や、手足や顔面だけと言った体の一部がけいれんする場合、体が硬直し失禁や脱糞などその症状は様々である。

 

発症の頻度も様々で月に一度や、1年に一度、一日に何度も発作が起きる場合もある。発作の時間も数十秒から数分でおさまる事が多いが、発作が継続的に起きる重積(じゅうせき)状態になることもある。

 

てんかん発作の原因は頭蓋内要因(頭の中の原因)と頭蓋外要因(頭の中以外の原因)がある。

頭蓋内要因は水頭症、大脳皮質形成異常などの奇形、脳炎、腫瘍、頭部外傷、特発性てんかんなど。

頭蓋外要因は有機リン、鉛などの中毒、肝疾患、腎疾患などの代謝性疾患、腫瘍など。

 

上記原因を特定する為の検査方法は血液検査やMRI検査が有効である。

原因が特定出来た場合には治療が可能な場合もある(腫瘍の除去等)が、原因が特定出来ない「特発性てんかん」の場合には根本的治療法が無い

 

発作を起こせば起こすほど、神経細胞のダメージが大きくなり、更に新たな発作を引き起こす要因となってしまう。発作が継続すれば症状も悪化し、脳圧(頭蓋骨内の圧力)の上昇、肺水腫などにより呼吸の停止、急死の可能性もある。その為、抗てんかん薬によって発作を極力抑制する必要がある

 

てんかん発作はその性質上、普段は何事もなく普通の生活が送れる。発作は突然起き、それは季節の変わり目や気圧の変化(天候が急激に変わる時)に左右されるという事例も多い。発作の最中は自覚意識が無い為、呼びかけに反応せず、むやみに触って刺激することで更に神経を興奮させ状態を悪化させる場合、噛みついてくる場合もある為、けいれん中、頭部をぶつけてけがをさせたりしないよう安全な場所の確保などに努め、様子を観察することが大切である。発作中に医師に見せる事がほぼ不可能な為、発作の長さや頻度、行動の変化など飼い主の観察による報告が、治療の判断に多いに役立つ

 

根本的な治療方法が無い場合、てんかん発作を抑制させる抗てんかん薬を使用する。

フェノバール、臭化カリウム、ゾニサミド、ガバベチン、ジアゼパム、クロナゼパムなど複数の薬があるが、どの薬がどの子に効果があるかというのは、実際に使用しながら、薬の血中濃度を測って調節していく事が必要となる。同じ症状を持つ子達であったとしても、同胎の兄弟であったとしても、効果のある薬の種類、又は組み合わせは異なる。

 

てんかんという脳の病を患う子を抱える飼い主には、精神的、金銭的な負担を長期に渡って強いられる。初めててんかん発作を見た人は口をそろえて「パニックになる。」「実際に見た人にしかわからない。」「まさに壮絶の一語に尽きる。」とその凄さを表現する。数分前までニコニコと元気にしていた我が子が、突然バタンと倒れ、手足を突っ張らせ、目を半開きにして、口から泡を吹き、全身を硬直させてバタバタとけいれんさせる姿を見るのは、本当に辛いだろう。

 

この病気の原因の特定の為の検査はMRIという高額機器を使用する為に、経済的にも高額な負担を強いられる。又、MRI検査が可能な動物病院の数も少ない。そして、抗てんかん薬も発症以後、一生飲み続けなければならないのである。

 

脳が正常に機能しないという意味で、前回の「激怒症候群」と並べて語られ、その症状が凶暴化する場合とけいれん発作となる場合の違いだと受け止められる。

 

特発性てんかんは遺伝的要素が関係していると言われ、てんかんを発症した犬の血液を繁殖に使う事は絶対に止めなければならない。てんかんを持つ親犬の子供全てが発症する訳ではない為、ブリーダーであれば、てんかんを発症した犬の親犬が正常である事で安心するのではなく、家系を遡ってその因子がどこに存在する可能性があるのか、状況の把握と調査が必要であろう。治療の為だけでなく、その発病が遺伝によるものか否かの判断材料としても、ブリーダーであるなら、検査を受けさせることは重要である繁殖を止める事によって、病気の犬、その飼い主を1頭、一人でも増やさない努力がブリーダーの責任である。

 

てんかんがスプリンガーに多い疾病である事を理解し、もし万が一自分の犬が発症してしまったら、ブリーダーにコンタクト出来るのであれば、発症した旨を伝える事も大事である。責任ある行動を取っているブリーダーであれば、それは非常に有難い情報なのである。

 

ブリーダーと飼い主が意識と責任を共有出来れば、遺伝による疾患の軽減に大きく前進出来ると信じている。

 




 

<参考文献>

犬てんかん専門医.jp  http://www.犬てんかん専門医.jp/

ESSFTA  Inherited Epilepsy can be Devastating in Dogs, Ned Patterson D.V.M.,

University of Minnesota

スプリンガーの保護犬の件があり、スプリンガー特有の疾病についての注目が高まっている。

国内では専門書もほとんど無く、経験から探られているのが現状である。スプリンガーの疾病についての専門的な研究は、現在の

ところ、量、質、歴史ともに海外にあるので、参考文献と、実際に海外のブリード現場をリサーチした結果を元に

今回から数回に分けてお伝えしていく。少々長くなるが、お付き合い願いたい。


スプリンガーの病気(1) 激怒症候群

 

Springer Rage Syndrome(スプリンガー・レージ・シンドローム)= 激怒症候群は先天性の疾患である。大人しかった犬が突然激しい攻撃性を示すものである。脳の疾病であり、てんかん発作の別の形であるとも言われている。

現時点までの聞き取り調査では、激怒症候群を専門に調べている獣医は残念ながら日本にはおらず、正しい知識の普及以前に、この「激怒症候群」という名前ばかりがスプリンガーに付いてまわる言葉となっている感がある。「噛む」と「激怒症候群だから」という都合の良い理由付けに使われる場合も見受けられる。

 

激怒症候群と優勢行動の違いは何だろうか?

犬が攻撃性を見せる場合、通常は

凝視する→唸る→歯を剥きだす→パクっと噛みつく(歯を立てる)→噛む

という段階を踏むが、威嚇する途中のステップを踏むことなく、いきなり最終攻撃の噛む行動に出て、更に相手が逃げ出そうとしても執拗に攻撃するのが激怒症候群である。

目つきが変わり、瞳孔が開いた状態になる事も特徴である

てんかん発作の一部と言われるように攻撃(発作)の最中は頭が混乱状態にあり、攻撃を止めさせようとしてもきかない。

攻撃の後、電源が切れたかのように大人しくなり、その犬は何をしたか分かっていない困惑した状態になる。疾病である以上、このような攻撃は制御することが出来ない。正しく脳の病気である。

脳内のセロトニンという脳内刺激伝達物質、つまり脳の興奮を鎮める作用があるこの物質量の低下が強い攻撃性につながっているとの研究結果も出ている。

 

優勢行動には数多くのタイプがあるが、攻撃性を示すある一定の状況、原因がある。

対して予測できない攻撃が激怒症候群である。優勢行動の場合には原因が分かる為、トレーニングによって改善の期待が持てるが、その程度によっては専門家においても非常に難しい。激怒症候群は脳の疾病である為、トレーニングによって矯正が望めるものではない。

発症は若い成犬(1歳から2歳)に多いがどの年齢でも発症の可能性はある。

 

疾病であれば、治す薬は無いのだろうか?

残念ながら現在のところ国内外を問わず根本的治療方法は発見されていない。その為、海外でも抗てんかん薬で常にボーっとした状態を作る薬の投与(これで突然の攻撃が無くなる訳ではない)か安楽死という選択肢しかない。攻撃が完全に払しょくされない以上、根本的解決法にはならず、実際海外でも安楽死の選択を余儀なくされる状況にある。


激怒症候群ないし優越行動はフィールドタイプには見られず、ショータイプに見られる。確かに優秀なショードッグはショーリングにおけるあらゆるストレスに動じず、自信に満ち溢れ、自己主張が強い。審査員の目を惹く自己主張の強い犬をハンドラーが操る事は容易であろうが、ショーリングを離れてオーナーの元で生活する中で、このパーソナリティーは時として邪魔な物となる。ショードッグがショーイングするのは一生の内のどれ位の期間だろうか? 一胎の中の何頭がショードッグとしてリングに立つのだろうか?

そのほとんどはパートナードッグとして家庭で生活するのである。そう考えた場合、ドッグショーでの好成績を優先し、遺伝する疾病、パーソナリティーに目をつぶることはブリーダーがしてはならない事である。激怒症候群、激しい優勢行動を持つ血筋は断たなければならない。

 

「スプリンガーは噛む」このレッテルを剥がす為には、作出するブリーダーとオーナーとの両サイドの知識と自覚、責任と覚悟が必要であろう。

 

ブリーダーは作出したスプリンガーの遺伝疾病、遺伝する激しいパーソナリティーの実態を把握する責任があり、発見した場合はその血筋の繁殖を断たなければならない。

噛むという問題が起きた事の責任を取る事以前に、問題が起きる犬を生み出さない事が大事であろう。疾病は決してトレーニングで治るものではない。いつ襲われるかわからない恐怖と隣り合わせの生活、時には自分の生命の危機をも脅かされかねない状況を作り出すことはあってはならない。

 

スプリンガーという犬種を飼うオーナーは、犬種特有の疾病や特徴を十分理解し、遺伝的な疾病やパーソナリティーに関する可能な限りの情報を集め、選択する必要がある。誰も、疾病がある犬、噛むかもしれない犬と生活を共にはしたくはないだろう。

 

ESSCJが目指す「健康でパートナードッグとして優れたスプリンガーを繁栄させたい」この為にはブリーダーとオーナー相互の責任と協力が必要である。時間は掛かるだろう。ひとつひとつ今ある問題に取り組んで行かなければならない。生命のあるものを扱う以上、生半可な知識、生半可な気持ちで向き合えるものではない。間違った事は正し、正しい方向へ向かう勇気も必要である。それによって、パートナードッグと共に穏やかに楽しい生活が送れるスプリンガーオーナーの笑顔が増える事を願って。





<参考文献>

ESSFTA

'An Article concerning the so-colled "Rage Syndrome" by Lyn Johnson DVM, Companion Animal Behavior Services

Love Springer Spaniels

The English Springer Spaniel  Tammy Gagne, Wayne Hunthausen, DVM

The Springershowcase "Springer Rage", Stephen C. Rafe

 

スプリンガークリスマス&忘年会

昨年に引き続き、今年もやりますよ!




日時 12月4日(日) 午前11時から午後2時

場所 横浜バークファーム

金額 調整中です

現在イベントなど細かいところを企画していますので、追って当ブログにてご案内いたします。
スプリンガーファンの皆様は万障お繰り合わせくださいます様、よろしくお願い
申し上げます。

※このイベントはESSCJ会員に限らず、どなたでもご参加いただけます。

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毎年恒例の「スプリンガー西湖オフ会」が来週末開催されます

 

例年の開催場所であった「西湖レイクキャンプ村」が今年2月に営業を終了し、同じ場所で「西湖キャンプ・ヴィレッジ・ノーム」と新たに営業を開始しています。

 

今年3月にESSCJを立ちあげましたが、長年行われて来た形式を維持し、会員、非会員の方の別無く、これまで通り自由に参加出来るようにする為、敢えてESSCJ主催にはしておりません。その為、記念の集合写真は撮る予定ですが、それ以外の企画はございません。

 

好きな時間に集い、湖で水遊びをさせたり、スプリンガー談義で盛り上がったり、名刺交換で友達の輪を広げたり、飲んで、食べて、思い思いに楽しむ週末です。

 

<スプリンガー西湖オフ会>

日時  : 2011年9月10日(土)、11日(日)

場所  : 西湖キャンプ・ヴィレッジ・ノーム

      http://www.hamayouresort.com/activity/_d_1302480126.html

       〒401-0332 山梨県南都留郡富士河口湖町西湖1030

                Tel  0555-82-2650

 

スプリンガーを飼っていらっしゃる方、以前飼っていらっしゃった方、これから飼いたい方、スプリンガーが好きな方、どなたでも、全国のスプリンガーが集まる年に一回のこの週末をお見逃し無く。

 

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